『天上の青』(てんじょうのあお)は、曽野綾子の長編犯罪小説である。1988年から1990年まで『毎日新聞』に連載され、1990年に毎日新聞社から単行本が出版された。1993年に新潮文庫版が出版された。映像化もされている。
解説
本作は曽野綾子が初めて手がけた犯罪小説である。1971年に群馬県で発生した婦女連続暴行殺人事件(大久保清事件)が題材になっているほか、1988年から1989年に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の影響もうかがえる[1]。
本作は推理小説ではなく、犯罪の全貌が時系列に描写されており、逮捕に至る過程も比較的あっさりと扱われている。しかし、警察による事件の解明や裁判の過程で、犯人の宇野富士男と、富士男と知り合った波多雪子、そして被害者たちの人間関係や葛藤が克明に描かれている。
なお、題名の天上の青は、作品に登場する朝顔の品種の名前である。
英語版・ロシア語版に翻訳された[2]。
あらすじ
湘南の海近くの自宅にて庭の朝顔を手入れしていた雪子の前に車に乗った男性が現れ、朝顔の種を分けてほしいという。冬になり、宇野富士男と名乗るその男性は再び現れて種を受け取り、それ以降は雪子の家を訪れるようになる。しかし、富士男は女性と関係を持っては殺害し、遺体を埋める殺人魔であった。
富士男は殺人やレイプを繰り返す一方、そのたびに雪子のもとを訪れては優しく接する。やがて富士男は逮捕され、雪子も様々な形で事件を知らされることになる。裁判が始まり、雪子のとった行動は・・・。
映像化作品
テレビドラマ(1992年版)
石松愛弘の脚本でドラマ化され、1992年にフジテレビ『妻たちの劇場で放送された。2020年1月29日にTCエンタテインメントからDVD発売された[3]。
- キャスト
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- スタッフ
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- 原作 - 曽野綾子(曾野綾子)「天上の青」
- 脚本 - 石松愛弘
- 演出 - 久野浩平
- プロデューサー - 北崎たか子
- 制作 - PDS
- 主題歌
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- 「ヘブンリー・ブルー」
- 作詞 - 白鳥澄夫 / 作曲・唄 - 白鳥英美子
フジテレビ 妻たちの劇場 |
前番組 | 番組名 | 次番組 |
| 天上の青 | 明るい家庭の作り方 |
テレビドラマ(1994年版)
井上由美子の脚本でドラマ化され、NHK-BS2『BSサスペンス』で1994年12月12日から15日まで放送された。総合テレビでも、1995年5月13日と20日に『土曜ドラマ』で放送された。1994年度(第10回)文化庁芸術作品賞受賞[4]。
- キャスト
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- スタッフ
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土曜ドラマ |
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※ 特記がない限りは21時放送、「*」…20時放送。「★」…22時放送。 |
第1次(1975年 - 1984年) |
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1975年 - 1979年 | |
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1980年 - 1984年 | |
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第2次(1988年 - 1998年) |
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1988年 - 1989年 | |
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1990年 - 1994年 | 別の愛 - 家族の値段 - 恋愛模様 - 理想の男性 - 新十津川物語 明治編 - チロルの挽歌 - - 新十津川物語 大正編 - 新・王将 - オバサンなんて呼ばないで! - 恐怖の航海 - 潮風のサラ - 春むかし - 新十津川物語 昭和編 - 愛を忘れないで - 流れてやまず - 地球をダメにする50のかんたんな方法 - パパ嘘だと言って - 推定有罪 - とおせんぼ通り - 欅の家 - 大草原に還る日 - 私が愛したウルトラセブン - 消えた金塊ブリンクス・マット強奪事件 - パパとアリスの奮戦記 - ミス・ローズ・ホワイトの秘密 - 春の一族 - 系列(パート1) - オバサン、咲いた! - 三十三年目の台風 - がんばらんば 〜平成の島原大変〜 - 勇士たちの帰郷 - 街角 - エトロフ遥かなり - 愛が聞こえます - 聞こえるかい心の歌が - 五右衛門 - 銀行 男たちのサバイバル - 否認 - 幸福の条件 - 米田家の行方 - 北山一平 アイラブ人生 - 黄昏の甘い恋歌ときめき御用達・おぼっちゃまは元気印! - 系列(パート2) - 秋の一族 - 和菓子の味 - 妻よ |
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1995年 - 1998年 | もうひとつの家族 - ゼロの焦点 - 放送記者物語 - 涙たたえて微笑せよ-明治の息子・島田清次郎 - 鏡の調書天使が街にやってきた - 家族旅行 - 天上の青 - 遠い国からの殺人者 - 八月の叫び - 刑事 蛇に横切られる - 新宿鮫 〜無間人形〜 - メナムは眠らず - されど、わが愛 - 天空に夢輝き 〜手塚治虫の夏休み〜 - やらまいか! - 夏の一族 - ストックホルムの密使 - 百年の男鯉のように百年生きろ - 一日三回食後に服用・よひんびん物語 - 大地の子 - 最後の弾丸 - 官僚たちの夏 - ランタナの花の咲く頃に - 水辺の男 - ぜいたくな家族 - 照柿 - 病院 - ちいさな大冒険 - 我等の放課後 - 秋の選択 - 憲法はまだか - 女にも七人の敵 - 新宿鮫 〜屍蘭〜 - おごるな上司! - うどんとビデオ - いのちの事件簿 〜福祉の最前線でケースワーカーは今〜 - 風のねがい - もうひとつの心臓 - 女たちの帝国 - 唄を忘れたカナリヤは… - 生前予約〜現代葬儀事情 - スズキさんの休息と遍歴 - 熱の島で〜ヒートアイランド東京 - 極楽遊園地 - 流通戦争 - 新宿鮫 〜毒猿〜 - 黄昏流星群〜恋をもう一度 - 風になれ鳥になれ - ラスト・イニング |
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第3次(2005年 - 2011年) |
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土曜ドラマスペシャル(2011年 - 2013年、2017年 - 2019年) |
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カテゴリ |
脚注
- ^ 新潮文庫版(1993年発行)下巻巻末の福田宏年の解説より
- ^ 文化庁「現代日本文学の翻訳・普及事業(第1回選定作品)」
- ^ TCエンタテインメント
- ^ 文化庁芸術祭賞受賞一覧 昭和61年度(第41回) - 平成7年度(第50回) (PDF) - 文化庁
外部リンク