1998年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは9月29日に開幕した。ナショナルリーグの第29回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 29th National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、10月7日から14日にかけて計6試合が開催された。その結果、サンディエゴ・パドレス(西地区)がアトランタ・ブレーブス(東地区)を4勝2敗で下し、14年ぶり2回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。パドレスは、地区シリーズではレギュラーシーズン102勝のヒューストン・アストロズを、今シリーズではレギュラーシーズン106勝のブレーブスを、それぞれ破った。レギュラーシーズン100勝以上の球団とのシリーズを同一年のポストシーズンで2度制したのは、1988年のロサンゼルス・ドジャース以来、パドレスが10年ぶり2球団目である[注 1][1]。一方のブレーブスは、レギュラーシーズンで106勝を挙げながらワールドシリーズ進出を逃した史上初の球団となった[注 2][2]。シリーズMVPには、第3戦と第6戦の2試合に先発登板して計10.0イニングを投げ、2勝0敗・防御率0.90という成績を残したパドレスのスターリング・ヒッチコックが選出された。しかしパドレスはワールドシリーズでは、レギュラーシーズン114勝のアメリカンリーグ王者ニューヨーク・ヤンキースに0勝4敗で敗れ、球団創設30年目で初の優勝を逃した。
両チームの1998年
10月3日にまずブレーブス(東地区優勝)が、そして4日にはパドレス(西地区優勝)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、前年までは地区ごとの持ち回りで割り当てられていた。しかしこの年から規則が変更され、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられることとなった[3]。したがって今シリーズでは、ブレーブスがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は9試合対戦し、ブレーブスが5勝4敗と勝ち越していた[4]。
試合結果
1998年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月7日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月07日(水) | 第1戦 | サンディエゴ・パドレス | 3-2 | アトランタ・ブレーブス | ターナー・フィールド | |
10月08日(木) | 第2戦 | サンディエゴ・パドレス | 3-0 | アトランタ・ブレーブス |
10月09日(金) | | 移動日 | |
10月10日(土) | 第3戦 | アトランタ・ブレーブス | 1-4 | サンディエゴ・パドレス | クアルコム・スタジアム |
10月11日(日) | 第4戦 | アトランタ・ブレーブス | 8-3 | サンディエゴ・パドレス |
10月12日(月) | 第5戦 | アトランタ・ブレーブス | 7-6 | サンディエゴ・パドレス |
10月13日(火) | | 移動日 | |
10月14日(水) | 第6戦 | サンディエゴ・パドレス | 5-0 | アトランタ・ブレーブス | ターナー・フィールド |
優勝:サンディエゴ・パドレス(4勝2敗 / 14年ぶり2度目) |
第1戦 10月7日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回表、トニー・グウィンがジョン・スモルツから適時打を放ちパドレスが同点に追いつく(44秒) |
延長10回表、ケン・カミニティのソロ本塁打でパドレスが勝ち越し(53秒) |
10回裏、ドン・ウォールがアンドレス・ガララーガを中飛に打ち取り試合終了、パドレスが先勝(39秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | 7 | 0 |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 8 | 3 |
- 勝利:トレバー・ホフマン(1勝)
- セーブ:ドン・ウォール(1S)
- 敗戦:ケリー・ライテンバーグ(1敗)
- 本塁打
SD:ケン・カミニティ1号ソロ
ATL:アンドリュー・ジョーンズ1号ソロ - 審判
[球審]テリー・テイタ
[塁審]一塁: ラリー・ポンシーノ、二塁: トム・ハリオン、三塁: グレッグ・ボニン
[外審]左翼: ジェリー・デービス、右翼: スティーブ・リプリー - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時15分 試合時間: 3時間27分 観客: 4万2117人 気温: 74°F(23.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第2戦 10月8日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
パドレス先発投手ケビン・ブラウンがブレーブス打線から11三振を奪い完封勝利(2分46秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 3 | 11 | 0 |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 |
- 勝利:ケビン・ブラウン(1勝)
- 敗戦:トム・グラビン(1敗)
- 審判
[球審]ラリー・ポンシーノ
[塁審]一塁: トム・ハリオン、二塁: グレッグ・ボニン、三塁: ジェリー・デービス
[外審]左翼: スティーブ・リプリー、右翼: テリー・テイタ - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時15分 試合時間: 2時間54分 観客: 4万3083人 気温: 62°F(16.7°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第3戦 10月10日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
パドレスの抑え投手トレバー・ホフマンが8回表二死満塁から登板、無失点の4アウトセーブで試合を締める(1分30秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 8 | 2 |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | X | 4 | 7 | 0 |
- 勝利:スターリング・ヒッチコック(1勝)
- セーブ:トレバー・ホフマン(1勝1S)
- 敗戦:グレッグ・マダックス(1敗)
- 審判
[球審]トム・ハリオン
[塁審]一塁: グレッグ・ボニン、二塁: ジェリー・デービス、三塁: スティーブ・リプリー
[外審]左翼: テリー・テイタ、右翼: ラリー・ポンシーノ - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後1時15分 試合時間: 3時間0分 観客: 6万2799人 気温: 72°F(22.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第4戦 10月11日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
7回表、先頭打者ハビー・ロペスの本塁打でブレーブスが同点に追いつく(47秒) |
ブレーブスはその回さらに1点を勝ち越したあと、アンドレス・ガララーガの満塁本塁打で5点差に突き放す(46秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 6 | 0 | 0 | 8 | 12 | 0 |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 8 | 0 |
- 勝利:デニス・マルティネス(1勝)
- 敗戦:ジョーイ・ハミルトン(1敗)
- 本塁打
ATL:ハビー・ロペス1号ソロ、アンドレス・ガララーガ1号満塁
SD:ジム・レイリッツ1号ソロ - 審判
[球審]グレッグ・ボニン
[塁審]一塁: ジェリー・デービス、二塁: スティーブ・リプリー、三塁: テリー・テイタ
[外審]左翼: ラリー・ポンシーノ、右翼: トム・ハリオン - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後4時15分 試合時間: 2時間58分 観客: 6万5042人 気温: 73°F(22.8°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第5戦 10月12日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
8回表、マイケル・タッカーの3点本塁打でブレーブスが2点差をひっくり返す(1分7秒) |
9回裏、グレッグ・マダックスがトニー・グウィンを一ゴロに打ち取り試合終了、ブレーブスが2勝目(33秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0 | 7 | 14 | 1 |
サンディエゴ・パドレス | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 6 | 10 | 1 |
- 勝利:ジョン・ロッカー(1勝)
- セーブ:グレッグ・マダックス(1敗1S)
- 敗戦:ケビン・ブラウン(1勝1敗)
- 本塁打
ATL:マイケル・タッカー1号3ラン
SD:ケン・カミニティ2号2ラン、ジョン・バンダーウォール1号2ラン、グレッグ・マイヤーズ1号2ラン - 審判
[球審]ジェリー・デービス
[塁審]一塁: スティーブ・リプリー、二塁: テリー・テイタ、三塁: ラリー・ポンシーノ
[外審]左翼: トム・ハリオン、右翼: グレッグ・ボニン - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時10分 試合時間: 3時間17分 観客: 5万8988人 気温: 72°F(22.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第6戦 10月14日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
6回表二死満塁、パドレスのスターリング・ヒッチコックが放った飛球を左翼手ダニー・バティスタが落球し2走者が生還、パドレスが4点差に突き放す(12秒) |
9回裏、トレバー・ホフマンがマイケル・タッカーを中飛に打ち取り試合終了、パドレスの優勝が決定(1分2秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 5 | 10 | 0 |
アトランタ・ブレーブス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 |
- 勝利:スターリング・ヒッチコック(2勝)
- 敗戦:トム・グラビン(2敗)
- 審判
[球審]スティーブ・リプリー
[塁審]一塁: テリー・テイタ、二塁: ラリー・ポンシーノ、三塁: トム・ハリオン
[外審]左翼: グレッグ・ボニン、右翼: ジェリー・デービス - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時15分 試合時間: 3時間10分 観客: 5万988人 気温: 77°F(25°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
脚注
注釈
出典
- ^ Matt Kelly, "Tale of the tape: '18 Red Sox vs. '98 Yankees / How does Boston stack up against New York's juggernaut?," MLB.com, October 30, 2018. 2021年5月8日閲覧。
- ^ Philadelphia Inquirer, "Padres coast into Series 5-0 win in Game 6 halts Braves' comeback try; Yankees are up next; 'Ready for next challenge'; Postseason frustration still haunts Atlanta," Baltimore Sun, October 15, 1998. 2021年5月8日閲覧。
- ^ Associated Press, "Change in Playoff Format Becomes a Matter of Record," Los Angeles Times, March 20, 1998. 2023年10月14日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月8日閲覧。
外部リンク
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1998 National League Championship Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第2戦:1998 NLCS, Game 2: Padres @ Braves
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- 2039
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サンディエゴ・パドレス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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パドレス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ敗退(2回) | |
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リーグ優勝(2回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - エルパソ・チワワズ(AAA級)
- サンアントニオ・ミッションズ(AA級)
- フォートウェイン・ティンキャップス(High-A級)
- レイクエルシノア・ストーム(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・パドレス(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・パドレス(Rookie級)
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アトランタ・ブレーブス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ブレーブス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(04回) | |
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ワールドシリーズ敗退(06回) | |
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リーグ優勝(18回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - グウィネット・ストライパーズ(AAA級)
- ミシシッピ・ブレーブス(AA級)
- ローム・ブレーブス(High-A級)
- オーガスタ・グリーンジャケッツ(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・ブレーブス(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・ブレーブス(Rookie級)
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