鶴市作戦

鶴市作戦

2011年3月16日東京電力
福島第一原子力発電所航空写真
作戦種類 原子力災害派遣
場所 日本の旗 福島県双葉郡大熊町
目的/目標 東京電力福島第一原子力発電所の
原子炉臨界の阻止
計画主体 日本の旗 日本 陸上自衛隊
実行組織 中央即応集団第一ヘリコプター団
計画責任者 火箱芳文
結果 実行されず
テンプレートを表示

鶴市作戦(つるいちさくせん)は、2011年に計画された福島第一原子力発電所事故への対処を目的とする作戦

概要

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、東北地方を中心に大規模な震災が起こった。福島県双葉郡大熊町東京電力福島第一原子力発電所では、この地震を端緒にした原子力事故が発生した。原子炉内で再臨界が発生すればさらに問題が深刻化することが予想されたため、ヘリコプターで原子炉にホウ酸を注入し再臨界を阻止する作戦が立案された。

作戦詳細

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を端緒に発生した福島第一原子力発電所事故は、事態が日々深刻化していた。同年3月17日には、陸上自衛隊ヘリコプターが投入され、原子炉に対する放水が行われた[1]。しかし、この対応とは別に、陸上自衛隊では、チェルノブイリ原子力発電所事故の対応を参考に、原子炉にホウ酸を注入して中性子を吸収させ再臨界を回避する方策の検討を進めた[1]

その結果、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉に対し、陸上自衛隊のヘリコプターでホウ酸を直接投入する作戦が立案された[1]。陸上自衛隊では、中央即応集団の隷下である第一ヘリコプター団に白羽の矢が立った。第一ヘリコプター団では、この作戦の実行に向けて極秘に訓練を何度も繰り返し、練度を高めていった[1]

しかし、原子力発電所の20メートル上空にヘリコプターを留まらせ、そこから重さ数トンに達するホウ酸を入れたバケットをゆっくりと下ろすという作戦内容であり[1]、慎重さを要するとともにかなり難易度が高く危険をともなうオペレーションとなった。後年、陸上幕僚長だった火箱芳文は、このときの心境について「このままだと日本は福島で分断され、国は滅びる。(隊員に)犠牲は出るかもしれないが、やるしかないと」[1]と述懐している。

なお、この作戦は結果的に実行はされなかった[1]

名称

「鶴市作戦」の名称は、大分県中津市に鎮座する八幡鶴市神社故事に因んでいる[1]。神社の縁起によれば、山国川を築く際、お鶴と市太郎の母子が人柱になり、水害に苦しむ地域を救ったと伝えられている[2][3]。陸上幕僚長の火箱芳文は、幼いころ遠足で八幡鶴市神社を訪れたことがあり、そのときのことを周囲の自衛官らに話していたという[1]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i 滝野隆浩・鈴木泰広「幻の極秘作戦」『毎日新聞』48977号、14版、毎日新聞東京本社2012年4月22日、1面。
  2. ^ “花傘鉾大祭始まる 中津市の八幡鶴市神社【大分のニュース】”. 大分合同新聞社. (2011年8月28日). オリジナルの2012年9月5日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/8iQO 
  3. ^ “鶴市傘鉾神事〜お鶴と市太郎〜 おおいた情報大事典 | OAB制作番組 | 番組案内 | OAB 大分朝日放送”. 大分朝日放送. (2010年9月18日). http://www.oab.co.jp/programguide/jouhou.php?id=91 

関連項目

外部リンク

  • 防衛省陸上自衛隊 中央即応集団 - 陸上自衛隊中央即応集団の公式サイト
被災地域
被災3県
その他
地震
地震の経過
メカニズム
被害と影響
被害と影響
東京電力
福島第一
原発事故
電力危機
対応と支援
日本政府
日本国内
日本国外
  • 一覧記事 記事の一覧
  • カテゴリ カテゴリ
  • コモンズ 東北地方太平洋沖地震
  • コモンズ 東日本大震災
  • ウィキニュース 東北地方太平洋沖地震
 陸上自衛隊 Japan Ground Self-Defense Force
幕僚機関
主要部隊
陸上総隊
方面隊
北部
東北
東部
中部
西部
主要機関
職種
歴史・伝統
前身組織
一覧
  • カテゴリカテゴリ
  • コモンズコモンズ