観無量寿経疏

観無量寿経疏』(かんむりょうじゅきょうしょ)は、中国の善導が撰述した『仏説観無量寿経』の注釈書である。本書は4巻から構成されるが各巻の首題が異なるため、『観無量寿経疏』・『観経疏』と呼ばれる。また、四帖に分けられている所から『観経四帖疏』(かんぎょうしじょうしょ)とも、略して『四帖疏』とも呼ばれる。

概要

それまでの浄土教の教学者の『仏説観無量寿経』の解釈を一新した書である。

『観経疏』は、中国では広く流布することは無かった。[要出典]

しかし日本において、浄土宗の開祖法然がこの書に着目し、主著『選択本願念仏集』に「偏依善導」(偏に善導一師に依る)[1]と記して、善導とその主著である『観経疏』を重用し、教学の根幹としている。

そして浄土真宗の開祖とされる親鸞は、『教行信証』「行巻」の巻末にある『正信念仏偈』の中で「善導独明仏正意」(善導、独り仏の正意を明かす)と讃歎している。

このように、日本の浄土思想形成に多大な影響を及ぼした。

構成

『観無量寿経疏』は、全4巻で構成されている。

観経玄義分巻第一[2]
『仏説観無量寿経』の意義を述べており、最初に「帰三宝偈」(きさんぽうげ)といわれる偈頌を置き、七門に分けてこの経典に対する見方を示す。
観経序分義巻第二[3]
『仏説観無量寿経』の序分(序説)の注釈。
観経正宗分定善義巻第三[4]
「観経疏 定善義」とも。正宗分中の定善十三観についての注釈。
観経正宗分散善義巻第四[5]
正宗分中、九品段・得益分・流通分・耆闍分について注釈し、後跋を付している。

脚注

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  1. ^ 「偏依善導」…『選択集』にある問答の中で、「華厳 天台 真言 禅門 三論 法相の諸師、 おのおの浄土法門の章疏を造る。 なんぞかれらの師によらずして、 ただ善導一師を用いるや。」という問いに対して、「かれらの諸師おのおのみな浄土の章疏を造るといえども、 浄土をもって宗となさず、 ただ聖道をもってその宗となす。 ゆえにかれらの諸師によらず。 善導和尚は偏(ひとえ)に浄土をもって宗となして、 聖道をもって宗となさず。 ゆえに善導一師にる。」と答えている。
  2. ^ 観経玄義分…「かんぎょうげんぎぶん」と読む。
  3. ^ 観経序分義…「かんぎょうじょぶんぎ」と読む。
  4. ^ 観経正宗分定善義…「かんぎょうしょうしゅうぶんじょうぜんぎ」と読む。
  5. ^ 観経正宗分散善義…「かんぎょうしょうしゅうぶんさんぜんぎ」と読む。

参考文献

  • 浄土真宗教学伝道研究センター 編『浄土真宗聖典』 七祖篇(原典版)、本願寺出版社、1992年。ISBN 4-89416-604-6。 
  • 浄土真宗教学伝道研究センター 編『浄土真宗聖典』 七祖篇(註釈版)、本願寺出版社、1996年。ISBN 4-89416-604-6。 

関連文献(訳注)

外部リンク

  • SAT DB(大正新脩大藏經テキストデータベース)
    • 『觀無量壽佛經疏』(經疏部 Vol.37)
      • 『觀經玄義分卷第一』
      • 『觀經序分義卷第二』
      • 『觀經正宗分定善義卷第三』
      • 『觀經正宗分散善義卷第四』
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浄土教 大乗仏教の一派)
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思想・基本教義
仏典

浄土三部経」(『仏説無量寿経』 曹魏康僧鎧訳 / 『仏説観無量寿経』 劉宋畺良耶舎訳 / 『仏説阿弥陀経姚秦鳩摩羅什訳)
『般舟三昧経』 支婁迦讖

関連人物

【インド】釈尊 | 十大弟子 | 龍樹 | 天親
【中国】廬山の慧遠 | 曇鸞 | 道綽 | 善導 | 懐感 | 少康
【日本】空也 | 良源 | 慶滋保胤 | 源信 | 永観 | 良忍 | 珍海 | 覚鑁 | 源空(法然) | 隆寛 | 弁長 | 親鸞 | 証空 | 一遍 | 覚如 | 蓮如 | 良寛 | 小林一茶 | 清沢満之 | 山崎辨榮 | 鈴木大拙 | 曽我量深 | 金子大栄 | (妙好人)

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『十住毘婆沙論』「易行品」SAT DB
『十二礼』SAT DB 迦才撰『浄土論』(No.1963)より抜粋・SAT DB 善導集記『往生禮讃偈』(No.1980)より抜粋

第二祖 天親
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『観無量寿経疏』(『観経疏』・『観経四帖疏』)SAT DB
『往生礼讃』SAT DB
『法事讃』(『転経行道願往生浄土法事讃巻上』・『安楽行道転経願生浄土法事讃巻下』)SAT DB
『般舟讃』(『依観経等明般舟三昧行道往生讃』)SAT DB
『観念法門』(『観念阿弥陀仏相海三昧功徳法門』)SAT DB

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