美しいメロディーにのせた題韻詩

ポータル 文学
ポータル 文学

美しいメロディーにのせた題韻詩』(仏語原題: Bouts-rimés commandés sur le bel air )は、モリエールによる題韻詩。制作年代不明。

内容

フランス語原文[1] 日本語訳[2]
Que vous m'embarrassez avec votre …… grenouille, あなたの…にはうんざりです カエル
Qui traîne à ses talons le doux mot d' …… hypocras! だってそいつは…の甘い言葉を踵に引きずっているんですもの。 カクテル
Je hais des bout-rimés le puéril …… fatras, 私は題韻詩の幼稚な…が大嫌いです。 ガラクタ
Et tiens qu'il vaudrait mieux filer une …… quenouille. それくらいなら…でも紡いでいたほうがマシです。 つむ
La gloire du bel air n'a rien qui me …… chatouille. 美しいメロディーを鼻にかけるなんてちっとも…ない。 その気になれ
Vous m'assommez l'esprit avec un gros …… plàtras, あなたの大量の…には嫌気が差すわ。 残骸
Et je tiens heureux ceux qui sont morts à ……Coutras, …で死んだ人たちは幸せね。 クトラの戦い
Voyant tout le papier qu'en sonnets on …… barbouille. だってあなたは手当たり次第にソネを紙に…んですもの。 書きなぐる
M'accable derechef la haine du …… cagot, もう一度…の憎しみに襲われたほうがいい。 似非信者
Plus méchant mille fois que n'est un vieux …… magot, 年寄りの…より千倍も意地悪でも。 猿みたいな醜男
Plutôt qu'on bout-rimé me fasse entrer en …… danse! 題韻詩で…されるよりずっとマシだわ。 踊ら
Je vous le chante clair,comme un …… chardonneret: 私は澄み切った声であなたに歌ってあげる、…みたいに。 ヒワ
Au bout de l'univers je fuis dans une …… manse. 私は世界の果ての…に逃げ込む。 農地
Adieu,grand Prince,adieu;tenéz-vous …… guilleret. さようなら偉大な王様、さようなら、…でいて下さい。 元気

成立過程

ラ・グランジュによって1682年に刊行された、初のモリエール全集では『エスカルバニャス伯爵夫人』とともに初めて出版され、この作品の後ろに配された。『エスカルバニャス伯爵夫人』と一緒に上演された作品の一節をこの作品が伝えているのかもしれない[3]

題韻詩は、予め決められたルールに従って韻を踏む遊びによって作られた詩である。社交界の遊びとしてサロンなどでもてはやされ、韻を踏むべき場所にどれほど自然で、かつエスプリの効いた言葉を入れられるかが競われた。1640年代から流行し、1670年代になってもその人気は健在であった[4]。『女房学校』の台詞にもこの詩は登場する。第1幕第場で、アルノルフがアニェスの無知さを示すための台詞に登場するが、この台詞が卑猥だとして激しい攻撃の対象となった。モリエールは『女房学校批判』において、その批判に応えている[5]

脚注

  1. ^ パブリック・ドメイン
  2. ^ モリエール全集9,P.141,ロジェ・ギルメール、廣田昌義、秋山伸子共編,臨川書店
  3. ^ Ibid. P.140
  4. ^ Ibid.
  5. ^ 「女房学校論争」をめぐって(その1) : 『女房学校批判』について,一之瀬正興,ヨーロッパ文化研究 13, P.202-3, 1994-03,成城大学
戯曲
1645年? 飛び医者 1650年? ル・バルブイエの嫉妬 1655年 粗忽者 1656年 恋人の喧嘩 1658年 恋する医者 1659年 才女気取り
1660年 スガナレル 1661年 ドン・ガルシ・ド・ナヴァール 1661年 亭主学校 1661年 はた迷惑な人たち 1662年 女房学校 1663年 グロ=ルネの嫉妬
1663年 女房学校批判 1663年 ヴェルサイユ即興劇 1664年 強制結婚 1664年 ぼうやのグロ=ルネ 1664年 エリード姫 1664年 タルチュフ
1665年 ドン・ジュアン 1665年 恋は医者 1666年 人間嫌い 1666年 いやいやながら医者にされ 1666年 メリセルト 1667年 パストラル・コミック
1667年 シチリア人 1668年 アンフィトリオン 1668年 ジョルジュ・ダンダン 1668年 守銭奴 1669年 プルソニャック氏 1670年 豪勢な恋人たち
1670年 町人貴族 1671年 プシシェ 1671年 スカパンの悪だくみ 1671年 エスカルバニャス伯爵夫人 1672年 女学者 1673年 病は気から
詩とソネ
1655年 相容れないものたちのバレエ 1655年 クリスチーヌ・ド・フランスに捧げる歌
1663年 国王陛下に捧げる感謝の詩 1664年 ご令息の死に際してラ・モット・ル・ヴァイエへ捧げるソネ
1665年 ノートルダム慈善信心協会の設立を記念する版画に付した詩 1668年 フランシュ=コンテを統治下に収められた国王陛下に捧げるソネ
1668年? ボーシャン氏のバレエのメロディーに付した詩 1669年 ヴァル・ド・グラース教会の天井画を称える詩
1671年? 美しいメロディーにのせた題韻詩
人物と関連項目
マドレーヌ・ベジャール アルマンド・ベジャール マルキーズ・デュ・パルク カトリーヌ・ド・ブリー ラ・グランジュ ミシェル・バロン ジャン=レオノール・グリマレ
盛名座 モリエール劇団 オテル・ド・ブルゴーニュ座 モリエールの医者諷刺 モリエール (列車)