統計的仮説検定

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仮説検定における統計的仮説検定(とうけいてきかせつけんてい、: statistical hypothesis testing)とは、母集団に関する統計的仮説が標本データによって支持されるか、矛盾するかを調べる手法を言う[1]。1920-30年代にかけてイェジ・ネイマンエゴン・ピアソンによって体系化された。

仮説検定の非対称性と二種類の過誤

第一種過誤と第二種過誤の値域における最大検出力線の例

帰無仮説が正しいときに,これを棄却してしまう誤りを第1種の過誤(Type I error)といい,これをαで表す。第1種の過誤を犯す確率は危険率とも呼ばれ,有意水準に等しい。

また,誤った帰無仮説を棄却しない誤りのことを第2種の過誤(Type II error)といい,これをβで表す。このとき,1 - βを考えると,これは誤った帰無仮説を正しく棄却できる確率となり,一般に検定力あるいは検出力(Power)と呼ばれる。

第1種の過誤を減らそうとすれば第2種の過誤が増える(あるいはその逆)という傾向がある(模式図 参照)。これは受信者操作特性(ROCカーブ)と本質的には同じことを言っている。

仮説検定では一般に、予め指定した十分小さいαに対し、βをなるべく小さく(検出力をなるべく大きく)するように棄却域を選ぶ方針がとられる(ネイマン・ピアソンの基準)。

ちなみに検定の実施自体は誤っていないが、検定法の適用を誤っている場合を第3種の過誤(Type III error)という。

脚注

  1. ^ 蓑谷(1988) p.146、蓑谷(1994) p.305

関連項目

参考文献

  • 蓑谷 千凰彦『推定と検定のはなし』東京図書、1988年。 
  • 蓑谷 千凰彦『統計学入門』 2巻、東京図書、1994年。 
  • 森 敏明, 吉田 寿夫(編著)『心理学のためのデータ解析テクニカルブック』北大路書房、1990年。 
  • D.ヒルベルト、W.アッケルマン 著、伊藤誠(訳) 編『記号論理学の基礎(第三版)』大阪教育図書社、1954年。 

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