わさび漬け

わさび漬け(安曇野市穂高)

わさび漬け(山葵漬け)は、刻んだワサビ酒粕漬けた食品粕漬けの一種で、酒肴やご飯のおかずかまぼこ等につける薬味とされる[1]

季語[2]

製法

日本大百科全書(ニッポニカ)』『日本農業新聞』の解説による[3][1]

  1. 材料となるワサビの根や茎などを細かく切る。
  2. で30分~数時間、下漬けをする。
  3. 水気を絞り、調味料(塩や砂糖みりんなど)を加えた酒粕で漬ける。
  4. 冷蔵庫で2~3日寝かせる。

発祥

静岡県のわさび漬け

現在のわさび漬けの発祥は、江戸時代宝暦年間(1751年 - 1763年)のことである。駿河国(現在の静岡県東部)の商人であった田尻屋利助が、現在の静岡市葵区有東木に伝わるワサビの茎の糠漬けを元に考案し、売り出したのが始まりとされる。その後、1889年明治22年)に静岡駅東海道本線)が開業すると、でできた化粧に詰めたわさび漬けが車窓越しに販売されるようになった。これが人気を博し、日本全国にわさび漬けが広まるきっかけとなった[4]

長野県のわさび漬け

長野県安曇野安曇野市穂高地区)では明治以降、豊富な湧水を利用したワサビの栽培が始められた。静岡からこの地にわさび漬けの製法が伝わったのは1892年(明治25年)頃。それまではワサビの漬物としては甘酒漬けが存在したが、日持ちしないという欠点があった。ワサビの粕漬けは好評を得て、舟運鉄道新潟方面から販路を拡大させていった[5]

材料

ワサビの葉柄や根茎のほか、ウニを添加したウニわさび漬や、数の子を添加した数の子わさび漬などがある[6]

ギャラリー

  • 安曇野市穂高のわさび漬け(2010年7月30日撮影)
    安曇野市穂高のわさび漬け(2010年7月30日撮影)
  • 同左、葉と茎を使わず、根茎だけを使っている。
    同左、葉と茎を使わず、根茎だけを使っている。
  • 数の子のわさび漬け
    数の子のわさび漬け
  • 「わさび漬発祥の地」の碑(静岡市駿府城公園)
    「わさび漬発祥の地」の碑(静岡市駿府城公園
  • 田丸屋本店(静岡市駿河区)
    田丸屋本店(静岡市駿河区

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 【継ぐメシ!つなぎたい郷土食】わさび漬け(静岡県)そそる香りと食感と『日本農業新聞』2021年10月9日8-9面
  2. ^ “山葵漬”. デジタル大辞泉コトバンク. 2018年4月20日閲覧。
  3. ^ “わさび漬け”. コトバンク/日本大百科全書 ニッポニカ. 2018年4月20日閲覧。
  4. ^ “静岡水わさびの伝統栽培 栽培の歴史”. 静岡わさび農業遺産推進協議会. 2018年4月20日閲覧。
  5. ^ 『穂高町誌 第三巻(歴史編 下)』168 - 169、180 - 181ページ。
  6. ^ “漬物の製造法”. 全日本漬物協同組合連合会. 2022年4月8日閲覧。

参考文献

  • 穂高町誌編纂委員会編集『穂高町誌 第三巻(歴史編 下)』穂高町誌刊行会、1991年1月20日。1

関連項目

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